大森直樹「「知識詰め込み型」からの転換なのか?−−改定「学習指導要領」が子どもにもたらすもの」

『世界』926号(2019年11月)の特集1「脱・オトナ目線の教育へ」(pp. 96-105)所収。

要約

これまでの「知識詰め込み型」の教育を脱し「主体的・対話的で深い学び」へ進むことを提唱した2017指導要領(2020年実施)のもと、学校は「肥大したカリキュラム」(数学者・教育学者 遠山啓による用語)を抑制して、主体的な学習に道を開けるのか。この問いに対する現段階での回答はNOである。2017指導要領は「これからは知識も技能も、思考力も判断力も表現力も、そして人間性まで育成します」という国の姿勢を反映したものとなっているが、学習量の削減は一切なく、むしろ増量している。子どもはもちろん、教職員の負担も増え、結果「想像力のない物知り」(遠山啓)が増えることになるだろう。こうした事態を避けるため、教職員・保護者・子ども・研究者の4者が協力し、(1)国が定める教育課程基準の全体を知る、(2)それら基準のもつ意味の大きさを知る、(3)4者の手で教育課程基準の全体をつくる機会をもつことを提唱する。

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