『多様性との対話−−ダイバーシティ推進が見えなくするもの』

岩渕功一編著『多様性との対話−−ダイバーシティ推進が見えなくするもの』青弓社 2021年

清水晶子さんからいただきました。ありがとうございました。

清水さんが担当した第6章の「女性として同じではないからこそ、抵抗への希望がある」という主張はとても重要。フェミニズム (さらに言うと社会運動)において、インターセクショナリティの視点が欠かせない理由を、それぞれの女性が直面する壁(抑圧や差別)の異なりとつながりから、それぞれの壁を削っていく作業(抵抗)の異なりとつながりに軸足をおいて描いてくれています。

また、クレンショー(1989年に「インターセクショナリティ」というフレームワークを提供したブラック・フェミニストの法学者)による「交差点の比喩」を単に批判して却下するのではなく、慎重かつサポーティブな読みを通して活かそうとしているところも勉強になります。

その他、個人的には論点1と第3章が勉強になりました。なお、論点1を執筆した塩原良和さんに関しては、『共に生きる–多民族・多文化社会における対話』(弘文堂 2012年)もオススメです。

目次

第1章 多様性との対話 岩渕功一 11-35

第2章 ダイバーシティ推進とLGBT/SOGIのゆくえ−−市場化される社会運動 新ケ江章友 36-58

論点1 多文化共生がヘイトを超えるために 塩原良和 59-67

第3章 移民・多様性・民主主義−−誰による、誰にとっての多文化共生か 髙谷 幸 68-92

第4章 生活保護言説における「日本人」と「外国人」を架橋する 河合優子 93-114

論点2 メディア研究における「ダイバーシティ 」の現在 林 香里 115-123

第5章 「生きづらさからの当事者研究会」の事例にみる排除の多様性と連帯の可能性 貴戸理恵 124-144

第6章 「同じ女性」ではないことの希望−−フェミニズムとインターセクショナリティ 清水晶子 145-164

論点3 みえない「特権」を可視化するダイバーシティ 教育とは? 出口真紀子 165-174

第7章 共生を学び捨てる−−多様性の実践に向けて 小ケ谷千穂 175-196

第8章 アート/ミュージアムが開く多様性への意識 村田麻里子 197−218

論点4 批判にとどまらず具体的に実践すること 219-231

あとがき 岩渕功一

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