『シリーズ 子どもの貧困③ 教える・学ぶ−−教育に何ができるか』(pp. 36-57)所収。
要約
近年の政策において「子どもの貧困」は、貧困家庭の子どもが十分に教育機関にアクセスできないこと、あるいは貧困状態にある子どもの教育的不利として問題化されている。その背景には、教育の支援を通して「機会」を保障し、個々の子どもの「学力(能力)」を高めていけば、その子は将来安定した職に就くことができ、「貧困の世代的再生産」が解消されるはずだ、という個人主義的かつ能力主義的な考え方がある。しかし、この考え方は、貧困問題を教育の機会の問題にすり替えることで「貧困」そのものを不可視化している点において、また「貧困の世代的再生産」の解消方法を個人化することで新たな「自己責任論」を招きうる点において危険である。
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