障害者差別解消法によると、「不当な差別的取扱い」とは、障害を理由とした異なる取扱いのうち、次の二点を満たすものです。
(1)障害者にとって不利に働くもの
(2)かつ、「正当な理由」がないもの
差別解消法は行政機関と事業者に対し、この意味での取扱いを「してはならないもの」(法的義務)としています。 この点について基本方針は次のように規定しています。
法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。
内閣府
また、基本指針では、「正当な理由」があるといえる条件を次に限定して定めています。
正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。行政機関等及び事業者においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)及び行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
内閣府
つまり、障害者に対し、財・サービスの拒否や制限をするのに「正当な理由」があると主張するためには、関係者(障害者、事業者、他の顧客)の権利利益を総合的に勘案した上で、以下の二つの条件
(a)障害者を不利に扱う目的が適切である場合
(b)かつ、それ以外に方法がない場合
を満たしている必要があります。したがって、 「他の顧客に迷惑がかかるから」とか「他の顧客からクレームがあったから」という理由のみで、正当な理由があると判断することはできません。
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