障害者基本法における「差別の禁止」

 「障害者権利条約」への署名後、この条約の批准に向け、日本では既存の法律を改正する等、国内法の整備が行われました。

 まず、2011年に改正された「障害者基本法」の4条に、障害者に対する差別を禁止する規定が設けられました。

何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
2  社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。

内閣府

 この条文に出てくる「社会的障壁」とは「障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」(2条の2)を指します。つまり、通行・利用しにくい施設・設備、利用しにくい制度、障がいのある者の存在を意識していない慣習、文化、障害のある者への偏見などはすべて社会的障壁だと解釈できます。

 障害者基本法の4条に設けられた規定を受け、2013年には「障害者差別解消法」の制定(2016年施行)と「障害者雇用促進法」の改正(2016年施行)が行われました。これら二つの法律に共通するキーワードが「不当な差別的取扱い」の禁止と「合理的配慮」の提供義務です。

 「不当な差別的取扱い」とは、「正当な理由」なく、障害を理由に「異なる取扱い」をすることで、障害者を「不利に扱う」ことです。「合理的配慮」とは、障害者が直面する社会的障壁を取り除くために、負担になり過ぎない範囲で行われるさまざまな変更や調整のことです。

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