竹村和子編著『ジェンダー研究のフロンティア 第5巻 欲望・暴力のレジーム――揺らぐ表象/格闘する理論』 (作品社、2008年)第9章(pp. 171-186)所収。
お茶の水女子大学で行われた講演の邦訳。訳は竹村和子さん。
今回、読み終えてから気づいたのだが、ゲイル・サラモン『身体を引き受ける−−トランスジェンダーと物質性(ルビ:マテリアリティ)のレトリック』(以文社、2019年)と併せて読むとよいかもしれない(今年度はそこまでできなかったので、来年度の授業でトライしてみたい)。
なお、紛らわしいが、バトラーには同名のタイトルの著書(Undoing Gender, 2004)もある。
うちChapter2 ‘Gender Regulation’ はインターネット上で読むことができる(こちら)。
要約:
1.セクシュアル・ポリティクスの地勢はアイデンティティ主義的なものではなく、緊張関係や内的葛藤に満ちたものである。(pp. 171-172)
2.緊張関係・内的葛藤とネゴシエイトしていくことが重要であり、そのためには文化資源(わたしたちの思考枠組み)を見直す必要がある。(pp. 172-177)
3.ジェンダー横断的な自己同一化を否認としてではなく「関係性を求める空想上の企て」として解釈する。(pp. 177-183)
4.暴力とは、ジェンダー・トラブルを抱えている人に、外からふるわれるだけでなく、彼ら/彼女らが自分自身にやむなくふるうものでもある。この点で、ジェンダー横断的な自己同一化はサバイバルにまつわる事柄である。(pp. 183-186)
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