心理的安全性:エドモンドソンまで

心理的安全性とは?

  • 「従業員が不安を覚えることなくアイデアを提供し、情報を共有し、ミスを報告する風土」
  • 「より率直に話し、好奇心旺盛で、協力し合い、結果として高い成果をあげる職場環境の土台」

その他の説明

  • 「対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる職場環境」
  • 「意義ある考えや疑問や懸念に関して率直に話しても大丈夫だと思える経験」
  • 「職場の仲間が互いに信頼・尊敬し合い、率直に話ができると(義務からだとしても)思える」
  • 「保身ではなく共通の目標を達成することに集中できる」
  • 「支援を求めたりミスを認めたりして対人関係のリスクを取っても、公式、非公式を問わず制裁を受けるような結果にはならないと信じられること」
  • 「率直であるということであり、建設的に反対したり気兼ねなく考えを交換し合ったりできるということ」

先行研究

  • Schein, E. H. & Bennis, W. G. Personal and Organizational Change through Group Methods: The Laboratory Approach, Wiley, 1965.
    • E・H・シャイン、W・G・ベニス『T-グループの実際ー人間と組織の変革』岩崎学術出版社、1969年
    • エドガー・シャインとウォレン・ベニス(MIT):組織改革の不確実性と不安に対処できるようになるためには心理的安全性が必要と主張
  • Schein, E. H. (1993) “How Can Organizations Learn Faster? The Challenge of Entering the Green Room,” Sloan Management Review, 34 (2): 85-92.
    • 何かが望みどおりに進まない時には特に心理的安全性が不可欠。心理的安全性があれば、保身ではなく共通の目標を達成することに集中できるようになる。
  • Kahn, W. A. (1990) “Psychological Conditions of Personal Engagement and Disengagement at Work,” Academy of management Journal, 33(4): 692-724.
    • ウィリアム・カーン(ボストン大学):心理的安全性は、従業員エンゲージメント(組織に対する従業員の自発的な貢献意欲)を高めると主張
    • サマー・キャンプと建築事務所に関する綿密なケーススタディを実施し、カーンは人々が職場でエンゲージして率直に発言できるようになる条件を調査
    • 仕事をする意義も心理的安全性も、どちらも重要だったが、職場で信頼と尊敬を感じているときのほうが、好意的に見てもらえていると実感する可能性が高いと結論
  • Edmondson, Amy C. (1996) “Learning from Mistakes is Easier Said than Done: Group and Organizational Influence on the Detection and Correction of Human Error,” The Journal of Applied Behavioral Science, 32 (1): 5-28.
    • チームワークが医療の誤り率にもたらす影響を調査
    • 対象者に「チーム診断調査」というアンケート調査を実施
    • チームの各メンバーがどのように仕事をしているのか観察
    • 6ヶ月をかけて誤り率(従属変数)に関するデータを収集
    • 結果、優秀なチームは、ミスを報告する数が多いことがわかった
    • 心理的安全性はグループレベルで存在する
  • Edmondson, Amy C. (1999) “Psychological safety and learning behavior in work teams,” Administrative Science Quarterly, Vol. 44, No. 2: 350-383.
    • アメリカ中西部のある製造会社で、51のチームを対象に心理的安全性を調査
    • 心理的安全性はチームによってかなりひらきがある
    • 心理的安全性があればチームの学習行動が促され、パフォーマンスも向上する
    • Googleのプロジェクト・アリストテレスにも影響

プロジェクト・アリストテレスとは?

  • 「最高のチームをつくる要因は何か」を突き止めるため、グーグルで行われた5年にわたるプロジェクトのこと。2016年にチャールズ・デュヒッグが発表
  • グループのなかで当たり前になっている行動、グループ内の人々がほぼ無意識に従っている行動パターンと暗黙のルールに着目
  • 最高のチームをつくる5つの要因:「明確な目標」「頼れる仲間」「個人的に意味のある仕事」「その仕事に影響力があるという信念」「心理的安全性」
  • 心理的安全性は、その他4つの「土台」(ジュリア・ロゾフスキ)

その他の論文