パンデミックとプレカリティ

1.感染症リスク

×ケアワーク、エッセンシャル・ワーク

宅配不安『うつし、うつされるかも』」朝日新聞(2020年4月15日)
 飲食宅配代行の「ウーバーイーツ」の配達員たちは、サービス運営会社が提供するスマートフォンのアプリを介し、飲食店と「1配達」ごとに業務委託契約を交わす個人事業主だ。配達員は、料理を受け取りに行く飲食店の従業員や注文した利用者ら、不特定多数の人と接する機会が多いため、感染リスクが高い。労働組合「ウーバーイーツユニオン」は運営会社に対して、マスクや消毒液の配布と、配達1件につき300円の「危険手当」の支払いを求めた。ユニオンを支援する川上資人弁護士によると、仮に配達員の感染をきっかけに利用者が感染した場合、運営側は配達員と雇用関係がないため、利用者に対して感染の法的責任を「一切負わない」と主張できる可能性があるという。また配達中に感染しても、個人事業主である配達員は労災の対象外度という問題もある。
(*2とも関連)

大倉瑶子「コロナウイルス影響にもジェンダー格差。医療従事者の7割は女性。日本は男女別のデータ収集と分析を」BUSINESS INSIDER  (2020年5月20日)
 国連は、職種の性別分業の傾向が、女性の新型コロナウイルスへの感染リスクを高めると警鐘を鳴らしている。世界的にみると、ウイルスと最前線で戦っている医療従事者の70%が女性であり、日本でも、女性の割合は世界の傾向と大きく変わらない。医師の女性の割合は約2割にとどまっているが、保健師、看護師、准看護師はいずれも女性が9割以上を占めており、介護職人も7割が女性である。スペインやイタリアの医療従事者の感染者の約7割が女性だと明らかになった。人口10万人あたりの感染者数は男性が年代ごとにばらつきがないのに対して、女性は明らかに20代が多い。20代女性の感染者が多い傾向は全国的にも見られ、専門家は医療や介護、接客業など職業の性別・年齢の傾向によって、感染リスクが異なる可能性を指摘している。

新型コロナウイルスによる健康格差、経済格差の拡大を防げ」NIRA総合研究開発機構(2020年5月)
 コロナウイルス感染拡大によって拡大する格差は健康格差と経済格差である。健康格差においては低所得者に多い肥満や高血圧の人がコロナウイルスにかかった場合重篤化しやすいと言われている。また低所得者は医療機関へのアクセスも容易ではないため症状を悪化させやすい。また感染対策の一つとして挙げられるテレワークも高所得者の方が取り入れており、低所得者はテレワークでは行えない仕事や、そもそもの環境を用意できない場合がある。第二波を防ぐためには立場の弱い人を優先的に守っていくべきだ。
(*2とも関連)

Sabrine Weiss「新型コロナウイルスが介護業界を“崩壊”させる:危機に瀕する英国の事業者たちの悲鳴」WIRED(2020年7月6日)
 新型コロナウイルスの影響で、個人防護服の価格と人件費が高騰したことにより、英国の介護施設事業者であるウェルバーン・ケア・ホームズは壊滅的な状況を迎えた。しかし、ケアの分野で奮闘しているにもかかわらず、国は不十分で、持続可能性にも欠けた支援モデルを採用している。 
 英国の介護施設は新型コロナウイルスのパンデミックによって最も深刻な影響を受けた事例として注目されており、前線で感染症のアウトブレイクが多発していることに加え、英国の介護事業者の3分の1は、今後3年間のうちに経営破綻するリスクを抱えていると言われている。そうなった場合、本当に介護が必要な人々にサービスが行き渡らなくなる可能性がある。 
 英国におけるケアの分野の財政構造自体が元々問題を抱えているものであったが、今回の新型コロナウイルスによってその欠陥がさらに浮き彫りになった。英国最大級の介護施設事業者でも破綻の懸念を抱えている現在、業界には政府からの何らかの救済が急務とされている。
(*2、4とも関連)

どうなる? withコロナ時代の在宅介護」NHKハートネット(2020年7月27日)
 コロナウイルスの感染拡大によって、デイサービスなどの通所介護と、ヘルパーによる訪問介護の両方において高齢者と介護者がの問題を抱えている。通所介護では、感染予防のためにレクリエーションやリハビリなどの活動に制限を設けたため、高齢者の身体機能の低下が顕著に見られる。また、施設に来る高齢者を職員が自ら送迎せざるを得ないところもある。訪問介護では、高齢者との密着による感染リスクと、それでも日常での介護が必須であることの板挟みになっている。また、デイサービスで複数の人々が集まることを避けると、訪問介護の回数が増えるため、介護者に多大な負担がかかる。これらの問題への対策に難航し、最も多くの困難に直面しているのが介護事業者の人々である。問題解決のため、感染拡大以前から慢性化していた人手不足の中でも、より多くの人出が求められると同時に、コストカットもやむを得ない。国や自治体による支援策が早急に求められる。
(*4とも関連)

×人種

新型コロナの人種格差は、思っている以上に大きい」YAHOOニュース(2020年6月19日) 
 新型コロナウイルス感染症の感染者数と死亡者数が世界最多となっている米国では、すべての年齢層において白人よりも黒人やラテン・ヒスパニック系のほうが、死亡率が高くなっている。年齢層別の死亡率の格差を見ると、45歳から54歳では特に顕著に表れていて、黒人やラテン・ヒスパニック系の死亡率は白人の6倍以上に上っている。密集した集合住宅で生活していることや医療へのアクセスが乏しいことなど、雇用、住宅、教育、健康などさまざまな面で、黒人をはじめとするマイノリティへの社会経済的不平等が、感染リスクや重病化リスクを高める要因になっている。

細田満和子「新型コロナがあぶり出した差別と偏見による健康と不平等」論座(2020年7月13日)
1)アメリカにおける黒人の新型コロナウイルスの感染者数は白人の3倍にものぼる。その原因には、黒人の健康保険加入者数が少ないことや職業柄テレワークが難しいこと等が挙げられる。しかし、これ以外にも黒人の健康被害が深刻になっている重要な要素がある。それは、黒人に対する医療者の偏見に基づく不平等である。黒人特有の病気として鎌状赤血球症というものがあるが、アメリカ社会ではなかなか理解されておらず、不当な扱いを受けたり研究予算が少なかったりする。アメリカの病院で広く使われているアルゴリズムが、黒人に差別的であるという研究も発表された。コロナウイルスの影響を受けて偏見による健康格差はさらに顕在化している。これは、日本においても差別する側・される側の両方の意味で対岸の火事ではない。

2)アメリカでは、180万人以上が新型コロナに感染、10万人以上が死亡して世界最多となっているが、黒人の被害は特に深刻で、白人の3倍にも上っている。その理由としては、黒人は健康保険に加入している割合が低く、体調不良でも受診しない人が多いことが挙げられる。また、サービス業や肉体労働に従事していて人と接する機会が多く、テレワークが難しい。このほかにも黒人に対する医療者の偏見に基づく不平等という黒人の健康被害が深刻になっている重要な要素がある。黒人特有の病いであるがために、通常受けられるはずの思いやりのある治療が受けられないということがあるのだ。新型コロナにおいては、この医療側の偏見による健康格差がさらに顕著化している。通常でも黒人を含むマイノリティ人たちは、体調不良を訴えても信用されなかったり、症状を軽く見られたりするが、特にパンデミックのような緊迫した状況で、その傾向が強まったという。

×その他

 「新型コロナの感染率、血液O型9~18%低い」米調査」日本経済新聞(2020年6月10日)
 「血液O型は新型コロナウイルス低リスク?」CLINIC FOR(2020年6月15日)
 アメリカの遺伝子検査サービスの大手23アンドミーが新型コロナウイルスと血液型の関係を調査した。その結果、他の血液型に比べてO型の感染率が極めて低い(9%~18%)ことが分かった。また、新型コロナウイルスにかかった患者が軽症ですんだり、重症になったりと、症状の幅広さにおいても、O型が重症化するケースは低いことが示されている。O型が新型コロナ感染率が低いことの理由はまだ明らかではないが、血液型によってかかりやすい病気やかかりにくい病気が異なるためであると考えられている。逆に、新型コロナウイルスにかかりやすい血液型もある。調査によるとB型とAB型は新型コロナウイルス感染率が高いという。しかし、重症化しやすいのはA型だということだ。また、新型コロナウイルスで亡くなった人の血液型を調査すると、A型が最も高い割合を占めているということも分かっている。

プライバシーをめぐる問題

新型コロナで性的少数者が苦悩「感染したら性的指向や関係が公に」 パートナーと距離も、差別の問題浮き彫り」京都新聞、2020年4月29日
 性的マイノリティの人々はコロナウイルスに感染した場合自分のセクシュアリティが知られてしまうのではと恐れている。というのも、もし自分やパートナーがコロナウイルスに感染したとすると、感染症法に基づき自治体が感染者の行動歴を聞き取り発表することになっているためセクシュアリティやパートナーとの同居が公になってしまうかもしれないというのだ。まだまだ性的マイノリティの人々が認められていない社会であり、職場での自分の立場を守るためにもそのような事態は避けたい。問題は行政に対してどこまで情報公開の範囲の要望を聞き入れてもらえるかだが、京都府などは要望を聞くとしている反面、トランスジェンダーの性を戸籍上と自認どちらで発表するかなど対応は定かでないところもあるという。

渡邊康弘「性的少数者がターゲットに…韓国コロナ感染者動線公開で人権侵害 防疫優先か?自由とプライバシー優先か?」『FNN』、2020年5月8日
東京新聞「<新型コロナ>第2波懸念 韓国、出口戦略に試練」『東京新聞』、2020年5月13日
 韓国では5月6日に外出自粛要請が解除されたが、その直後に繁華街の梨泰院でクラスターが発生した。韓国では新型コロナ感染者の詳細な動線を自治体が公開している。今回も規定通り、第一感染者である男性が行ったクラブの店名を龍山区が公開したことで、店が性的少数者向けであると特定された。韓国メディアは男性が“ゲイ”クラブに行ったことを強調して報道し、それに伴い「ゲイはコロナが怖くないのか」「感染者はゲイということだな。同性愛は精神病だ」などの誹謗中傷が多数なされた。当時、現場にいた当事者たちはアウティングを恐れ、多数がPCR検査を回避している模様だ。LGBT支援団体は「身元が露出して職場差別や家庭内暴力にさらされることを懸念する」と会見で述べた。防疫を優先した感染者の動線公開は、プライバシーを奪い、人権侵害に繋がりかねない。ポストコロナ社会では、防疫と人権の共存をどのように図るのかを検討する必要がある。

2.感染防止対策

入国制限

(社説)コロナ水際対策 『外国人』差別の理不尽」朝日新聞(2020年6月8日)
 感染防止の水際対策の一環として、政府は現在、111の国・地域からの「外国人」の入国を拒否している。日本の永住資格をもつ人や日本人の配偶者たちも同じ扱いで、これらの国々に赴いた場合、原則として再入国は許可されない。入管当局は出国を控えるよう求める。そのため、日本で暮らす外国籍の方(約80万人)が厳しい立場に置かれている。親族の葬儀や看病も叶わず、政府による人権侵害行為と言わざるを得ない。他の先進国も水際対策に力を入れるが、長期滞在者や自国民の配偶者らの再入国に特段の障壁はない。日本も再入国を認めたうえで、空港などで感染の有無をチェックし、自主隔離を要請すればいいだけの話だ。日本国籍の人や在日コリアンら特別永住者と異なる扱いをしなければならない理由はどこにもない。

首相、外国人の再入国制限の緩和を表明 対象は9万人か」Yahoo!Japanニュース(2020年7月22日)
 4月3日に49か国・地域を入国拒否の対象にして以降、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格を持つ外国人でも、入国拒否の対象地域に出国した場合は、再入国を認めていない(入国拒否の措置が始まる前に出国した場合、この4つの資格に限り再入国を認めている)。22日の政府の対策本部で、これを緩和する方針が表明された。入国拒否の開始後に出国した場合については再入国制限を続けるが、開始前に出国した場合についてはこの4つ以外の在留資格を持つ人も再入国を認める方針で、8月に実施される見込みである。それらの人のうち、緩和により日本に戻る可能性のある外国人は最大で約8万8千人いる。日本の再入国制限は、国内外から批判があがっており、政府はこれらとは別に、親族の葬儀など、政府が人道上の配慮が必要と認めた事例については、現在も在留資格や出国時期に関係なく再入国を認めている、としている。

職業差別

ワイドショーでは絶対に報じられない、パチンコ店の本当の休業率』ハーバー・ビジネス・オンライン(2020年5月9日)
 今年5月、都道府県知事の自粛要請に従わず営業を続けるパチンコ店に対し、ワイドショーなどでは激しいバッシングが連日報道されていた。しかし調査によれば、実際にはGW中におけるパチンコ店の休業率は全体で98.7%に上り、3000社8000軒以上が混在する業界であることを加味すれば極めて優秀な対応と言える数字であった。そういった実情にも関わらず、パチンコ業界は政治やメディアの扇動によって分かりやすい社会悪として仕立て上げられ、世間一般から社会不安や在宅ストレスの捌け口として謂れなき批判にさらされる形になったのである。

また飛び出した「夜の街」発言・・・小池都知事の会見に批判殺到」Yahoo.news(2020年7月3日)
東京都、感染経路「夜の街」から多岐に 年齢層広がる」日本経済新聞(2020年7月17日) 
 7月2日の会見において、小池百合子東京都知事は「夜の街要注意」というボードを用いて注意を促した。それは夜の街に対する差別のように感じられ多くの批判の声が上がった。記事の中では感染者の4割が夜の街関係者と確かに多くの割合を占めているが、他の要因も多くの割合を占めているため夜の街だけを非難することに対する疑問の声や、そもそも彼らが働かなければいけないのは、休業補償されないからであり、非難する前に補償をすべきという声が紹介されていた。しかし、7月中旬以降では、夜の街の若者以外でも、会食、職場、家庭などの日常生活で感染するケースが増えており、若者だけでなく高齢者の感染も増えているという現状がある。このように現在、幅広く感染者が拡大していることから必ずしも夜の街が原因と言えないことが分かる。

コロナ禍でフランス4万人の性産業従事者はどう影響を受けたのか」Yahoo!Japan(2020年7月21日)
 今回の新型コロナウイルスの騒動で、最も打撃を受けているのは低所得者や、非正規雇用で働く人々など、社会的に弱い立場にある人々だ。フランスでは、性労働者が直面している困難についても頻繁に各メディアで取り上げられている。一方、コロナ禍中の日本では、水商売や性産業を補償の対象外とすることへの抗議が報じられた。最終的には職業の差別なく支給される運びとなったが、たとえ合法的な労働者や事業主であっても、性産業従事者は公の場面で偏見の被害をこうむることがあるという現実が明らかになったといえる。性産業に関わる仕事は、偏見や差別にさらされやすい職業でもある。だからこそ他のすべての職業に従事する人たちと同じ権利や保障にアクセスできるよう、手助けをしなくてはいけない。
(*4とも関連)

千葉雄登「リスクがあるのは「夜の街」「劇場」という場所ではない。感染対策、表面的な「換気を徹底」だけでは不十分」BuzzFeed(2020年7月25日) 
 東京都新宿区で開かれた舞台公演において、新型コロナウイルスの集団感染が発生したことを踏まえ、集団感染を防ぐためにはどのような工夫が必要なのかを専門家に問うたのがこの記事の大筋である。
 聖路加国際大学の坂本さんは、感染経路ごとへの対策が必要だと指摘した上で、「換気を徹底」という表現の基準の曖昧さについて特に言及する。また、Jリーグ観戦や音楽のライブなどの人が一定数集まる場所においては、リスクを完全になくすことはできないという前提のもと、リスクをできるだけ下げようとする努力が求められると述べる。
 また、リスクの高い場所として「夜の街」や「劇場」という特定の場所を指摘するメディアの報道に坂本さんは苦言を呈す。というのも、リスクの高さは、特定の場所や職業に紐付いているわけではなく、その場所に集う人々の行動に紐づいているものであるため、「場所」や「職業」でリスクの高さを括ってしまうと本質的に感染の原因となっている人々の具体的な行動要因が見えにくくなってしまうのだ。これを踏まえ、坂本さんはリスクとなる行動要因を明らかにし、その行動に対する具体的な対策を考えていく事が、今後のリアルの場でのライブや舞台公演を考えていく上で大切な事だと述べる。
(*1とも関連)

コスト負担の問題

介護報酬上乗せ請求可、利用者の負担増』新潟日報モア(2020年7月4日)
 新型コロナウイルスの感染対策のための高齢者のデイサービスやショートステイの負担が増加していることから、事業所が実際に提供したサービスよりも多く介護報酬を請求できる特例を、厚生労働省が6月に都道府県に通知し、実施されている。特例の活用は各事業所の判断に任せられており、利用者の同意のうえで、実際に提供したサービスよりも2時間分多く請求可能である。デイサービスを要介護4で週2回利用しているある利用者は、6月の利用料が440円ほど高くなる見通しである。厚労省は、利用者の負担増加について、施設の感染対策ができれば安全に利用できるメリットが利用者にもあるとするが、利用者の視点の欠如や事業所の収入が増えてもマンパワーの不足が続けば負担の緩和にはつながらないこと、数百円の上乗せであっても特例適応の期間が分からず負担が大きいことなどが指摘されている。また、国による公費負担を求める声もある。
(*4とも関連)

3.「新しい生活様式」の設定

教育機会の不安定化・子どもへの影響

竹内明日香「私立と公立「教育格差」、長期休校が映した現実」東洋経済Online(2020年5月29日)
1)私立校と公立校の間の学力格差は、コロナ禍においてさらに広がりつつある。首都圏模試センターの調査によると私立校においては64%の学校でオンライン教育が行われている一方、公立校においては5%にすぎなかった。公立校においても教師や保護者がオンライン化を進めようという動きはあるが、ステイホームしながら十分な教育を享受できているのはほんの一握りの子供にすぎないのである。OECDの緊急調査によると、日本の教育における教員のICT教授スキルは77ヵ国中最下位、ICT機器の普及率は66位だ。このまま世界との乖離が続けば、日本の今後の国力の動向に大きく影響するだろう。コロナ禍でオンライン化の機運が高まっている今、この盛り上がりを教育革新に繋げていくべきだ。

2)新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令で全国の小学校、中学校、高校が一斉休校した期間があった。それにより、私立学校と公立学校の学力格差がさらに広がった。例えば私立学校では、休校期間も約60%の学校がオンラインを活用し生徒に勉強する機会を与えた。それに対し、公立高校のオンライン活用率は約5%に留まる。このように、私立学校と公立学校の間で教育機会の不平等が起きている。もちろん公立学校もオンライン化を導入する方針はあったものの、その整備が整っていなかったため、書類を郵送するなど古風なやり方にとどまった。現在は休校期間は終わり、小中高の学生は学校に登校することが出来ている。しかし、コロナがさらに流行りまた休校を余儀なくされる場合もあるだろう。私立学校、公立学校共にオンラインの整備を強化し、学校にいけなくても教育のサポートをできる環境を整えるべきだろう。
(*4とも関連) 

3)コロナウイルス流行の中オンライン教育で自宅にいながら安心と学びを享受出来る子どもがいる一方でそれ以外の子ども達には教育を得られる機会が限定されている。私立学校ではオンライン化が積極的に進められているが、公立学校では殆ど進められていないという事例もある。学校内外の様々な要因がオンライン授業推進を妨げる中自治体や教育委員会の動きが重要になる。また世界的に見ても日本の教育現場でのICT機器の普及率、教員のICT教授スキルは共に低い。公立学校では自治体や学校ごとに対応が異なりパソコンの操作も拙い教員も多くオンライン授業以前の状態も見られる為、教員のソフトスキルは早急にサポートの必要があると指摘されている。オンライン授業活用面で世界と差がある状態が継続すれば将来の産業の展開、国力の動向にも大きく影響すると予想される為コロナウイルス流行に伴う一時的な課題対応として終わらせてはいけない。
(*4とも関連)

4)コロナ禍のなかで私立校の半数以上はオンラインによるホームルームや授業を行ったと見られている。しかし、公立校でオンライン化を進めたのは5パーセントにすぎない。家庭によっては受験塾や家庭教師のもとで勉強しているが、学習機会に差が出ていることは明らかだ。日本は教員のICT教授スキルが低い。これを機に、オンラインの活用を検討する余地がある。
(4とも関連)

「居場所をなくして命を落とす子のために」コロナでも活動続けたこども食堂 見えた課題 』弁護士ドットコム (2020年6月1日)
 4月における子ども食堂は、全体の56%が支援を続けていた。関係者は、内部でも安全のため閉鎖する意見もあったが、それでも地域の為に続けなければならない実態があったと話す。別の関係者によれば、コロナのリスク以上に、自宅以外の居場所を失うことで命を落としてしまう子どももいるのだという。活動の現場では、ボランティアに高齢者が多いことに伴う感染リスク、食材・資金不足、公的施設の休業に伴う活動場所の不足など、様々な課題を背負っている。資金面では助成金制度やクラウドファンディングを活用し、食材は政府備蓄米や近隣の飲食店等からの提供を支えとしているが、未だ十分とは言えない。withコロナにおける子ども食堂では、新たな生活様式に応じた運営方式を見直す必要がある。そして寄付や善意だけでは運営が困難な現実がある以上、国や自治体が救いの手を差し伸べなければならない。

オンライン授業受けられず自殺 インドの貧困層少女、視聴の手だてなし―新型コロナ」JIJI.com(2020年6月8日)
 新型コロナウイルスの感染拡大が続くインドで、14歳の少女が学校のオンライン授業を受けられないことを悲観し、焼身自殺した。少女は憲法で廃止されたはずの旧身分制度カーストで差別されて貧困家庭に育ち、スマートフォンなど授業を視聴できる機器を持っていなかった。「各家庭の状況を調査し、視聴環境がない場合は近くの学校を紹介した。授業映像は後で見返すこともできた」と教育相は述べているものの、その情報は伝わっていなかった。これを受け、学生団体が「貧しい生徒を追い詰めている」と政府を批判し抗議のデモを行った。同じように教育から取り残されている子供は多く、州内だけで約25万人の子供がオンライン授業を視聴できない。インドの6割を占める貧困層にとってコロナは深刻な問題である。
(*4とも関連)

松岡亮二「コロナ禍と教育格差:ICT活用後進国ニッポンの大問題」YAHOOニュース(2020年6月24日)
 コロナ禍により、以前から存在した家庭と学校(地域)による教育機会と結果の差が拡大したと言える。休校により、高SES層(社会経済的地位の高い層)は、空いた時間を塾・予備校・習い事に使うことが出来、積極的にオンライン授業を行う私立校生なら休校の負の影響をさほど受けていない可能性がある。一方低SES層は、子供が一日中スマートフォンやゲーム漬けになっていても驚きはない。地域格差に関しては、最も教育的刺激が少なく学習習慣や学力を得ることができないのは、休校期間が長引く大都市部に住む低SES層だろう。ICT環境の整備についても、格差が存在する。コロナ禍で拡大した格差是正のための教育改革が求められている。

不登校は対象外?授業ライブ配信自治体で割れる対応…背景は」西日本新聞(2020年6月27日)
 新型コロナウイルスにより小中学校ではライブ配信型の授業が行われるようになった。そこで、当初福岡市では、不登校や長期入院など、コロナ以外の理由で登校していない児童生徒を対象から除外していた。一方、熊本市は最初から全ての児童を対象にライブ型授業をしていた。大阪府の寝屋川市でも、授業のライブ配信を始め、対象はコロナを理由に登校を控える約20人に限定された。これらの背景には、タブレットの配備など、十分に条件が揃わない段階で施策をどう進めるかの違いがある。
(*4とも関連)

在宅勤務をめぐる問題

白河桃子「新型コロナで子無し社員にしわ寄せ、職場の不公平感に解消方法は?」(2020年3月18日)
 世の中のモヤモヤと本音が書き込まれる掲示板「発言小町」に、新型コロナウイルス感染拡大の影響について、「独身と子無しに負担が重くのしかかる」という内容の投稿があった。職場で、子育てをしている社員が優先的に有給休暇を取得することで、独身社員や子無しの共働き社員にしわ寄せがきているという。小中学校の一斉休校に伴い、子育て中の社員が有給を優先的に使える対応をする企業もある。その結果、仕事の負荷がのしかかるのは、「独身、子無し社員」となる。「お互い様」を指摘する人もいるが、これは「子育て社員vs子無し社員」の対立ではなく、「会社がおかしい」という構造の問題である。子育て中の社員にだけ、充実したワーク・ライフ・バランス制度があることを不公平に感じる人もいる。コロナによる危機をみんなで協力して乗り切るためにも、「お互い様」で済ませず、社員の負担にきちんと報いる評価と報酬が必要である。

コロナ対応のテレワークに「格差」が生じている 7割以上が「案内なし」、企業・業種・個人間で差」東洋経済オンライン(2020年4月4日)
 テレワークという働き方に格差が表れていることが明らかとなった。3月中旬に行った調査では奨励、命令されていたのが2割、実施していたのが約13%であった。そのように低い割合の原因は、テレワークに対応できるほどの設備や資金以前に制度が多くの企業で整っていなかったことにある。テレワークを実施していない会社の社員に聞くと約41%が「テレワーク制度が整備されていない」と回答し企業の設備、資金というよりは、このような緊急事態を想定していたかどうかの差が顕著に表れたようだ。しかし実施率が低いことから、テレワークが可能な企業かそうでないかで企業間格差が起こっていることは明確である。加えて飲食や派遣などテレワークが難しい業種も存在し業種間格差も生じており、これらを埋める補償も検討すべきだ。

「オンライン疲れ」投稿80万件 在宅生活に悩み」日本経済新聞、2020年5月29日
 新型コロナ感染防止のため、緊急事態宣言の解除後もテレワークが推奨されている。テレワークでは、やり取りのために文字を書き起こすことや業務連絡でひっきりなしに届く膨大なメッセージ1つひとつに注意を払うことが必要である。このように、テレワークによって業務過多に陥る、在宅でむしろ多忙になるという現状があり、オンライン疲れが懸念されている。NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションによると、2月1日~5月14日に「オンライン疲れ」という単語を含んだツイッター投稿は累計約80万件あった。在宅勤務の導入が拡大し始めた4月上旬から増加した。企業向けにメンタルヘルスのコンサルティングを行う「ピースマインド」でも3月以降、相談件数が増え、新型コロナ関連の相談内容のうち3割強は在宅勤務のストレスについてである。専門家は「オンラインでのやりとりは必要性を見極め、むやみに増やしすぎないことも大切だ」と話している。
(*4とも関連)

テレワークできない人も コロナ時代の働き方とは」毎日新聞(Yahoo!Japan ニュース)(2020年6月27日)
1)新型コロナウイルスの影響で、働き方の見直しが進んでいるが、テレワークできない仕事も少なくない。医療福祉関係や交通機関、運送業、小売店など「現場」で社会を支える仕事ばかりだ。一方、コロナを機に本格的にテレワークへ移行した会社もある。本社オフィスを解約し、社長は「通勤や身支度の時間が節約できるし、人材募集の幅も広がる。感染や事故、災害などのリスクも減らせる」と言う。都知事選では、各候補者が働き方をめぐって様々な主張を展開した。コロナにより働き方が見直されていると言える。

2)コロナ禍の影響でテレワークの導入が推進されている。3月にはテレワーク導入率24%だったが4月には63%まで上がった。しかしテレワークができない仕事も多くある。例えばタクシーの運転手だ。また緊急事態宣言中は人が外出しないため需要がなく、手取りも13万円まで減ってしまった。対してテレワークでも仕事を円滑に進めることができる企業は、オフィスを削減することで維持費も圧縮できる。この差には賃金だけでなく、感染リスクも大きく変わってくる。これを受け、エッセンシャルワーカーに対して危険手当などを支給する案が出ている。首都である東京から働き方改革をして行くべきだ。
(*1、4とも関連)

経理だけ不公平?コロナ禍でもテレワークできない「紙の請求書」•••“電子化”プロジェクトに課題を聞いた」FNNプライムオンライン(2020年7月8日)
 新型コロナウイルスにより、全国的にテレワークが浸透しているが、職種だけでなく、部署によってもテレワークが難しいことがある。テレワークが進んでいない部署といえる一つ、経理。郵送で送られてきた請求書の処理などのほか、テレワークにした場合のセキュリティーの問題もある業務である。株式会社ロボットペイメントが全国20〜59歳の現役の企業経理担当者1000人を対象に、アンケート調査を行なった結果、外出自粛期間中に、テレワークを実施できなかったと答えた人が69.1%いたことがわかった。そして、経理のテレワークを阻害した要因については1位から紙の請求書業務、入金支払い管理、紙の経費清算業務となっており、紙に関する業務が多かった。その請求書業務を電子化するべき、電子化されると経理の働き方は変わると思うと回答したのが共に約9割。働き方を見直し、これまでの“当たり前”にとらわれず無駄をなくして行くべきではないだろうか。
(*1とも関連)

やりがいって何」教員、綱渡りの日々 コロナで業務増大」西日本新聞(2020年7月12日)
 新型コロナウイルスによる長期休校が開けた学校現場で、学習の遅れや感染予防に追われる教員たちが悲鳴を上げている。急ぎ足の授業に子ども同士の触れ合いも促せず、検温、消毒や給食の配膳といった業務も増大する。話しかけてきた子供には密だからと注意しなければならず子供たちの笑顔はマスクでわからない。余裕のない日々に仕事のやりがいすら見失いつつあるという。教員の負担が急増する中で文科省は教員や学習指導員の増員や消毒作業員の配置などの対応を始めているが現場とのすれ違いが課題としてあげられている。今回例に挙げられていた30代の教員は幼い子供がいて共働きなため仕事から帰って家事育児をし、午後1時に就寝するが夜泣きで起こされてしまうこともあるという。休校により多くの共働き世帯が負担を被ったことはよく取り上げられていたものの学校再開による教員の負担が意識されていないというのは職種による不均衡が見られるのではないだろうか。
(*1とも関連)

リモート勤務終了でストレス増 「今」がむしろ辛い人たちも」Livedoor News(2020年7月13日)
 緊急事態宣言が解除され学校や仕事などが以前の形に戻った人も多いだろう。その中でリモートワークが終了し職場へ出勤する生活がかえってストレスになって辛いと訴える人たちがいる。出社前の準備が必要ない、満員電車での通勤がない、などコロナ前では気付かなかったリモートワークのメリットによってストレスが軽減していた人もいるのだ。在宅勤務の方が以前よりも効率が上がった例もあり、効率の良い「新たな生活」ができるように動くのも悪くないのではないか。

女性に対する暴力

若い女性の駆け込み先を コロナで行き場失う恐れ」日本経済新聞(2020/5/1)
 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が続くなか、虐待などで自宅に居場所のない若い女性の駆け込み先をつくる動きが広がっている。彼女らが、自宅だけでなく、学校やネットカフェなどの居場所を失うと、性被害に遭う恐れが高まることもあるため、支援団体は衣食住の提供などの対策を強化している。Wi-Fiの使用、食事、生活雑貨の受け取りなどができる10代女性限定の無料カフェを月に数回運営してきた一般社団法人「Colabo(コラボ)」には、3月以降、中高生含む少女200人以上からの相談が相次ぎ、シェルターやホテルを緊急避難先として用意している。従来の相談件数は年間約500人だという。小中学生がネット上で助けを求めて性被害に遭うことがあるが、行政がコロナ対策におわれ、ますます困っている少女たちが孤立していることや最悪の状況を想定した先手を打った受け皿づくりの必要性などが指摘されている。

新型コロナウイルスがもたらした『影のパンデミック』」MASHING UP(最終閲覧日:2020年7月16日)
 新型コロナウイルスによって世界の女性たちが受けている深刻な暴力を、ウイルス自体の流行状態を指す「パンデミック」に加え、「影のパンデミック」が起きていると表した。世界各国と日本のそれぞれにおいて、深刻な暴力の実態と、それに対する政府や民間団体などの対応、または依然として残る問題点がそれぞれ存在することが指摘された。世界ではロックダウン以降における被害報告の増加が見られ、それに対して国連女性機関(UN Women)が女性に対する暴力に関したレポートを公開することによって強い警鐘を鳴らしたり、各国で女性が支援を求められるような街と警察の連携システムや、アプリなどが導入されたりしている。一方日本においても、早い段階で政府によって性犯罪や性暴力への対策を強化する方針がとられた。しかし結局、民間の団体が相談や保護の受け皿になってしまっていて、必要な財源が行き届かない現状が挙げられた。
(*4とも関連)

社会的マイノリティへの影響

トランスジェンダーへのアンケート調査で、ホルモン治療や性別変更手続きの中止など様々な困難が明らかに」OUT JAPANホームページ2020年5月25日
性的少数者「治療拒否は『死』と同じ 外出自粛で手術白紙に」長崎新聞2020年5月19日
 トランスジェンダー支援に取り組む市民団体「Team Respect and Solidarity」(TRanS)がアンケートを実施し、トランスジェンダーを対象に医療へのアクセスについて尋ねた。新型コロナウイルスの影響として「受診・治療がストップした」、「個人輸入のホルモン製剤が届かない(遅れている)」、「医療機関へのアクセス悪化」、「通院に伴う感染の不安」などが挙がった。性同一性障害(GID)と診断され、戸籍の性別の変更を望む人たちの多くはホルモン療法を受けている。卵巣や精巣の摘出後にホルモン治療が受けられないと、更年期障害や免疫力低下などの体調不良や、メンタルヘルスの不調に繋がることがある。休業中で生活が苦しくなり手術のためのお金を切り崩さざるを得ない人や、家庭裁判所の休延により戸籍の性別の変更が滞ってしまっている人もいる。「TRanS」の代表を務める浅沼智也さんは、必要な時に必要な支援が受けられないことで、当事者の健康や生活がより悪化してしまう可能性が高くなることを指摘している。
(*4とも関連)

Tanya Basu「新型コロナが変えた聴覚障害者の日常、「新しい生活様式」バリアに」MIT Techonology Review(2020年6月22日)
 新型コロナウイルスのパンデミックによって生まれた「新しい生活様式」は、聴覚障害者の生活にとって新たな障害となっている。たとえば感染拡大に伴い一気に普及したビデオチャットであるが、それは聴覚障害者の社会生活や仕事をはるかに困難にしている。そこで、会話の内容を数秒以内に文字に起こす機能を導入するなどの改善策が挙げられている。また日常生活の中でマスクを着用することが常識となった今、相手の口の動きを読むことすらも不可能となり、聴覚障害者にとってコミュニケーションの断絶が起きることになる。その解決策として透明なフェイスマスクを使う施設等も見られる。しかしこれら対策はコミュニケーション・ギャップを埋めるための最初の一歩にしか過ぎない。健常者にとっての「普通」の生活を、聴覚障害者は手に入れることはできていないのが現状である。

小林明子「コロナがLGBTQの若者たちを追い詰めた。居場所なく、物置で生活した人も」Buzzfeed News(2020年6月25日)
 新型コロナウイルスの流行拡大によって、普段から生きづらい状況に置かれているLGBTQの若者達が、新たに様々な問題を抱えていることが、プライドハウス東京が行った調査「LGBTQ Youth TODAY」によって明らかになった。それらの問題は大きく分けて家族・仕事・医療の三つの点から述べられた。一つ目の家族では、LGBTであることに否定的な家族に対して自分のセクシュアリティを隠さなければいけないことと、それを隠しながら、外出が困難な中で長い時間を共に過ごさざるを得ないことの辛さが挙げられた。二つ目の仕事では、収入が減少した上に休業・失業になった者がいた。職を失った者は再就職の難しさも懸念されていた。三つ目の医療では、感染してしまった時、病院において自身のセクシュアリティが望まぬ形でカミングアウトされることがないか、パートナーがいる場合はそれが家族として扱われうるか、などの懸念があった。これに加えて、もともと行っていた通院が移動自粛によって困難になったことも挙げられた。
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Patrick Strudwick「新型コロナのパンデミックに乗じて加速する、LGBTヘの攻撃や差別」BuzzFeed(2020年6月23日)
 新型コロナウイルスのパンデミック下で、世界各国ではLGBTの人々をやり玉にあげる「スケープゴート化」が起きている。ゲイクラブで集団感染が発生した韓国では、メディアがアウティングに加担した。他の国では、警察がロックダウン中の規制を利用して、LGBTの人たちを非人道的に扱うケースや、政府が機会に乗じて制度や暴力によりLGBTを排除する動きを強めるケースが見られる。そのような状況の中で、LGBTの人々はアウティングを恐れて新型ウイルスの検査を受けられない、支援を受け取れない、生活が困難になるなどの問題にさらされている。
(*4とも関連)

なかのかおり「ダンスが生きがいのホームレスたちは、コロナ禍をどう生き抜いていくのか」Forbes Japan(2020年7月5日)
 2007年に初演して以来、ダンス作品を披露し続けてきた路上生活経験者のダンスグループ「新人H ソケリッサ!」が、新型コロナウイルスの影響により活動自粛を余儀なくされている。当団体は、メンバーの自由な表現のため、健康のため、また、自立にもつながるような場として機能してきた。しかしこうした、ホームレスをエンパワメントする団体の活動までもが、今回の新型コロナウイルスの影響で活動を制限せざるを得なくなっている。ホームレス当事者は、経済的なしわよせを被ることに加え、代替的な表現の手段として利用されるオンラインツールへのアクセスも持っていない。こうした背景がかさなり、ホームレス当事者のリアルの場での表現活動が、新しい視点で捉え直されている。
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4.感染症の長期化がもたらす不利・困難

大学入学選抜試験への影響

大学受験が不公平に」高3生の悲痛な声 休校で広がる学校格差、9月入学希望も「何か対策を」京都新聞(2020年5月20日)
 京都府内では新型コロナウイルスの感染拡大による休校が続き、学習に遅れが出ているが、他県で通学を再開したところもある。そのために受験生の間で格差が開かないよう、9月入学で解消してほしいという声が高校生たちからも上がっている。しかし9月入学には慎重論や反対論も多く出ており(実際に現時点では9月入学の導入は延長となっている。)受験生の懸念を払拭するため、教育研究者からは「思い切って大学受験を改革し、細かい知識を問うよりも高校の成績や読み書きの能力を評価する形に変え、卒業要件の方を厳しくすべきだ」という意見や、「試験は高2までの学習内容から出題する方法がある」との提案が出ている。とある女子生徒は女子生徒は「もともと学校間格差があるのに、休校でさらに拡大されてしまう。9月入学が難しいのなら、せめて公的政策で何らかの対策をとってほしい」と強く訴えた。

大学生への影響

コロナで内定取り消し続発 学生「一方的すぎる」企業「仕事ない」」神戸新聞(2020年4月5日)
 新型コロナウイルスの感染拡大による経済状況悪化を理由に、企業から採用内定を取り消された学生がいる。政府は内定取り消しを回避するよう企業側に求めたが、中小企業からは「経営努力では追いつかない」との悲鳴が上がる。一方、内定を取り消された学生を採用する動きも出ている。神戸市は1年間の任期付職員100人の募集を始めた。また、モスバーガーを展開するモスフードサービスや、スーパーのライフコーポレーションなど大手も、緊急採用に取り組んでいる。

「遊び金なら出さない」学生バイトに休業補償なし」東京新聞(2020年6月20日)
学生バイトにしわ寄せされる社会の強烈な矛盾」東洋経済オンライン(2020年6月23日)
 正社員ではなくアルバイトとして雇われている学生は休業補償が出ず、生活に困窮し高騰している学費を払うことが困難な状況に陥っている。奨学金を借りアルバイトの給料でやりくりしている学生や、実家の家族の生活が苦しいため学生の給与の一部を生活費に充てている人もいる。しかし学生アルバイトに対しては休業補償を行う必要はないといった認識を持った企業が多数存在する。また働きどころを失った学生も多い。学生だからという理由で労働者としての権利を軽視されている。またこういった学生が継続的に収入を得るためには日本学生支援機構の奨学金しかなく、生活保護を受けることもできない。この状況下から脱却する手立てはあるのだろうか。

米、留学生ビザを制限 オンライン授業のみなら発給せず」日本経済新聞(2020年7月8日)
 米国土安全保障省の傘下にある米移民税関捜査局(ICE)は6日、9月以降の新学期に向けビザ発給の規則変更を発表した。その変更とは、すべての授業がオンラインで行われる場合、留学生にはビザを発行しないというものだ。米国の大学や高校に留学する場合、学校側から対面の授業を行っているという証明書を受け取り、提出しなければならない。新規のビザ発給だけではなく、すでに在籍している学生のビザも対象となる。これには批判的な見方もある。

<7月の窓>なぜ大学生だけ 孤独なオンライン授業」東京新聞TOKYO Web(2020年7月20日)
 新型コロナウイルスの影響で4月に大学に入学した女性は今もキャンパスに入れず、1日3時間以上配信されたオンライン授業の動画を視聴し続けている。「いつも1人きりでつらい」と時には部屋で泣いていたこともあるという。学生たちのツイッターなどを見せてもらうと、「大学を辞めたい」「休学したい」との書き込みが目に付く。都内の小中学校は6月に再開した。商業施設には大勢の客が戻り、スポーツの試合には上限つきで観客が入るようになった。大学生だけ通うことができないことのほか、実習もなく、図書館も使えないのに高額の施設費がかかっていることへの疑問も残る。「これ以上孤独な学生生活を送ることは限界ではないか」と、女性の母はこぼす。せめて1日だけでも大学へ通えないかと願う。
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不況による影響

×非正規雇用・貧困世帯

みわよしこ「コロナ失業と30万円給付の壁に悲鳴を上げる「夜の街」の女性たち」Diamond Onlime(2020年4月10日)
 コロナ禍の不況の影響は「夜の街」で深刻だ。コロナウイルスが全国で蔓延し始めた3月末にバーやナイトクラブなどの休業要請が発表され、現在でも「夜の街」への風当たりは強い。「夜の街」に従事する女性もこのような中で失業の危険にさらされているが政府の生活保障は十分ではない。収入が減少し生活が困難になった家庭への貧困対策として30万円給付が発表されたが、当初風俗業などは対象外とされていた。当事者団体などの働きかけにより撤回はされたものの、セックスワーカーのような日常的に差別を受けやすい環境にある人ほど緊急事態の支援の網の目からこぼれがちなことは明らかだ。国際的なセックスワーカーの当事者団体が各国に権利擁護を求めるなど世界規模でも動きが出てきている。どのような職場にも健康と安全は保障されるべきで、当然彼ら/彼女らが従事する「夜の街」も例外ではない。

新型コロナ あらわになった不平等 生活苦での心身悪化懸念 近藤克則さん、辛酸なめ子さん、藤田孝典さん」朝日新聞デジタル(2020年5月1日)*有料記事
 米国では低所得者や黒人にコロナウィルスの重症化や死亡が多い「健康格差」が報じられている。日本においても、コロナウィルスの感染しやすさや治りやすさの差が「直接的な健康被害の格差」につながる可能性は高いと思われる。
 しかし社会経済的に生活が苦しくなり、そのために間接的に心身の健康が悪化することも懸念される。実際に、東日本大震災において社会経済的な間接的被害が被災者のうつや認知機能低下の発症に大きな影響を与えている。また、ここ10年余の研究で、人間の健康状態に生育歴や、経済環境が大きな影響を与えていることが分かってきた。コロナウィルスにおいても所得や教育などの違いが直接、間接にさまざまな経路で影響してくる可能性が高い。そのため、社会経済的な生活支援が欠かせない。

新型コロナによる経済活動の停滞がひとり親を直撃。75%が減収、「一日一食」「4月、5月の収入ゼロ」」時事ドットコムニュース(2020年5月25日)
 ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンは5月1日から14日に食品を申し込んだ利用者294名にアンケート調査を行ったところ、パート等の就労可能時間が減るだけでなく、失業などすでに多くのひとり親家庭に経済的影響が出ている。また、子供の学習面でも、貧困によりオンライン学習の環境(端末やネットワーク)がなかったり、小学生などの低年齢の子供の家庭学習は親のサポートを前提としているがひとり親世帯では子供の課題の把握までは手が回らない。また、一人で学習に取り組める年齢になるとオンライン学習できる環境がないことで学習の機会が奪われ、経済格差が学習の格差を生んでしまう。
(*3とも関連)

新型コロナが追い打ち「月収10万円」貧しさの現実」日経ビジネス(2020年5月26日)
 貧困は簡単に外から見えない。今起きている問題はこれまで見ないふりをされたり、だましだましやり過ごしたりしてきた問題が表面化しただけだ。しかし、貧困を過小評価する意見も多い。その原因は「相対的貧困」という言葉による貧しさの現状の不明瞭化と個人の責任へのすりかえである。相対的貧困にある人々とは「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」のこと。そのような状況下では貯金も難しくコロナのような突発的な出来事への対策は難しい。また、貧困問題は弱い立場にならないと見えないものがあるため個人の責任にすり替えられやすく、それによって孤立することも多い。日本ではワーキングプアが多く格差は広がっている。年齢別、性別格差の格差があり、その原因は正規雇用と非正規雇用の賃金格差。男女の雇用格差による賃金格差がある。コロナ禍の今こそベーシックインカムを取り入れるべきではないか。

今野晴貴『非正規に広がる「補償なき休業」 「シフト制」や「登録型派遣」でも休業補償の義務』 YAHOOニュース(20205月31日) 
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って事業の縮小・休止を余儀なくされた企業が、適切な補償なしで非正規社員を休業させるケースが多発している。なかでも不払いが多いのは「シフト制」や「登録型派遣」で働く非正規雇用だ。これらの労働者にも企業は休業手当を支払う義務があり、雇用調整助成金の対象にもなる。しかし、このような非正規労働者は1か月の所定労働日数が定められていないため労働者にとっても会社都合の「休業」と認識することが難しく、手当や補償が支払わない状態が続いている。すでにシフト制や登録制の非正規労働者が会社と交渉し、補償を得られたケースもあるので、企業には改善を求めていく必要があるだろう。
(*2とも関連)

小林美希「コロナがあぶり出した保育士「ありえない格差」 国の指示に従わない保育園も多数ある実態」東洋経済ONLINE(2020年5月31日)
 コロナ禍で登園する園児が大幅に減る中、正職員はシフト手当などが減給されたが基本給が補償された一方で、非常勤職員の賃金補償は4割カットの6割支給と差があった。国から委託費が満額出ているにもかかわらず賃金カット(特に非正規)が横行する背景には、人件費をほかに流用できる『委託費の弾力運用』という制度による影響がある。最大限人件費を削ろうとする姿勢がコロナでより一層、表面化した。核家族で子育てと仕事を両立させるには非正規雇用を選択するしかないにも関わらず,非正規の保育士のこのような現状に対し「本人の努力不足によって、非正規雇用に甘んじている」との認識から自己責任を求める批判も見られた。非正規雇用にも専門職としての責任は負わせながらも,補償はしない。児童福祉法が定める福祉施設である保育園で,利益を優先するがために,保育の質をつくる保育士への待遇が疎かになるのは如何なものか。
(*3とも関連)

6月末でのコロナ「非正規切り急増」の危機「賃下げ」の横行も』Yahoo!Japanニュース(2020年6月6日)
非正規単身女性を容赦なく「コロナ切り」の過酷 不安定な立場で生計立てており貯蓄も乏しい』東洋経済オンライン(2020年6月13日)
 新型コロナウイルスの影響により雇止めや解雇される人が増えている。それだけではなく補償をせずに従業員を休ませる企業もあり、その間、従業員の収入はゼロに限りなく近くなるため苦しい生活を強いられている。その他にも企業が給料を下げることに合意を求めたが、それに合意しなかった女性が解雇された例や、パートタイムで働く女性が週五日勤務から2日勤務に減らされることを告げられ、その際に「不満があれば、辞めてもらって結構だ」と言われたという例がある。このような被害にあった人々の多くは非正規雇用であり、彼らはこのような事態において不利な立場に置かれていると言える。現在、サービス業では非正規労働者の多くは女性が占めており、その中でも特にシングルマザーは子育てがあるうえ上記のような要因によって収入の乏しい、いつ解雇されてもおかしくないという状況にあるため彼女らの生活は非常に不安定であると言える。

路上、ネットカフェ生活者が10万円の特別定額給付金をもらえない理由」Googleニュース(2020年6月9日)
 正式な居住先を持たない路上生活者は、新型コロナ感染拡大による失業者の増加でさらに増加すると予想される。また、感染拡大により、3密を避けるために炊き出しが減り、体調を崩す人たちがいることを心配する声もある。総務省は、今回の特別給付金の対象者を今年4月27日時点で住民基本台帳に記録されている人としているが、路上生活者の中には、銀行口座や住民登録のない人が少なくないという。また、身分証明書自体をなくしている場合もあり、住民票の履歴を追うのも困難だというが、その場合の措置は決まっていない。総務省はネットカフェなども長期契約と店舗側の同意があれば住所地として登録できるとしているが、多くの店舗は認めておらず、住所が必要な会員制をとることも多い。住民登録ができない人向けの救済措置や、申請期限延長を求める声はあるが、総務省は消極的である。
(*1とも関連)

なぜ女性ばかり仕事を失ってしまうのか 「コロナショック」が暴いた格差の構造」AERAdot(2020年6月16日)
 新型コロナウイルスが流行し経済が停滞すると共に女性に経済的負担が多く伸し掛っている。女性がDV被害を受けて家から逃げ出すといったケースも例年より増加しており、母子家庭への経済支援等の地域格差も懸念されている。更に女性が占める非正規雇用率は約7割であり、非正規労働者の中でも約7割の女性が「対人的な仕事」に従事している割合が正規労働者、男性の非正規労働者に比べて共に高い。コロナウイルスの流行対策により対人的な産業の消費が減少し、特にこうした仕事に従事する女性の生活が危機に瀕している。また、女性の中でも影響が大きいと考えられるのはリモートワークがしずらい家庭やひとり親の家庭といった子育て世帯だという指摘もある。以上の様に短期間で格差が拡大する事が予想され、その改善が希求されるが、男女の賃金格差や雇用問題など潜在的な問題の複合的な蓄積が原因とされその解決には困難が伴う。

片沼麻里加、竹生悠子「コロナ禍で消えた非正規の女性雇用、アベノミクスの成果ご破算に」Bloomberg(2020年7月3日)
 新型コロナウイルスによって、もともと非正規で働いていた女性たちの就業状態が悪化すると共に、同時にそれは、アベノミクスの中で掲げられた「女性の活躍を推進すること」という目標から大きく乖離してしまうという結果になってしまった。ここでは、感染拡大後の女性たちの雇用変化が、数字に基づくデータまたは調査や、様々な専門家の意見によって具体的に考察された。大まかに見ると、労働力調査により、女性就業者数が8年ぶりに減少したことと、4・5月における非正規雇用者の減少のうち、どちらも女性が7割を超えたことが分かった。この原因として、そもそも働いている女性の6割が非正規であることや、家庭での家事・育児の負担も大きいこと、また子どもが休校になったことが指摘された。これに伴い、指導的地位に占める女性の割合を20年まで30%に引き上げると設定した目標も先送りにされ、30年まで可能な限りという程度に調整が入った。

迫る「失業率2割」の足音 世界で格差再生産」日本経済新聞(2020年7月6日)
 保育園で働く契約社員のある女性は、緊急事態宣言に伴う休園で勤務日数が減り、園長から減給の可能性を言い渡された。保育園側との交渉により給与全額支給が成立したが、今度は契約更新を止める申し出をされた。
 日本では休業で収入を絶たれた企業が、派遣の雇い止めや解雇などを行うケースが増加している。専門家は、休業で大打撃を被ったサービス産業には女性の非正規労働者が多く、雇い止めなどで生活が脅かされていると指摘している。実際、5月の非正規労働の雇用者数は前年同月比で61万人減った。
 世界規模で問題となっている、新型コロナによる就労時間の減少、失業率の上昇、雇用の縮小、景気の低迷などの現象はリーマンショック時も同様に起きた。リーマンショック後、それらの現象克服に多大な時間を要し、格差が拡大したことを考慮すると、コロナ渦でも同様に格差が再生産されるのは確実だろう。

コロナ不況で「女性の貧困」が進む。パートや派遣にしわ寄せが」Yahoo!Japanニュース(2020年7月26日)
 以前から問題視されていたものの放置されていた「女性の貧困問題」が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で顕在化したと言われている。特に風俗業はコロナ禍でセーフティーネットとしての機能を失いつつある。また在宅勤務が認められなかったり休業補償を出してもらえず有給を消化することになったりと、非正規雇用の女性がますます正規雇用との格差に苦しめられている。コロナ禍中の雇用に関する相談は6,7割を女性が占めている。現在シングルマザーを含め女性の世帯主も増えているが、未だ男尊女卑の傾向が見られる地域もあり、これが特に女性の非正規雇用者の低待遇や低賃金の結びついているといえる。

16時間放置し3ヵ月の乳児が死亡…母親の「悲痛な生活環境」」Yahoo!Japanニュース(2020年7月28日)
 7月23日の朝9時半ごろ、東京・台東区の自宅マンションで、生後3ヵ月の娘が息をしていないのを、前日の夕方から外出していた母親が発見し、119番通報した。女児は病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。女児に目立った外傷はなく、司法解剖でも死因は特定されなかった。母親は女児と二人暮らしで、母子手帳がなく、親族の助けもなく一人で育てていたようだという。給料から家賃や公共料金などを払うとほとんど手元に残らず、生活費を稼ぐために、当日も働きに行っていたという。ある家族問題評論家は、10年以上前から母子家庭の貧困率の高さが問題になっており、国は十分なセーフティネットを張るべきであると指摘する。母親には頼る人が少なく、生活保護や新型コロナウイルス感染拡大による『ひとり親世帯臨時特別給付金』などの手続きや申請の仕方を知っていれば子どもの命は失われなかったかもしれない。

×事業・景気への影響

古田拓也「新しい生活様式が生む「売れる」「売れない」の差」東京経済Online(2020年5月10日)
 コロナ渦を経た私たちの生活様式の変化を小売店の販売動向データを元に分析している。一つ目の変化は化粧レスだ。アイシャドウ、ファンデーションなど化粧品全般の売り上げがコロナの影響により30%〜40%ほど落ち込んでいる。とりわけ口紅の売り上げは大幅に低下しておりこれはマスクの着用が原因であると考えられている。二つ目の変化は食へのこだわりの増加だ。コロナ期間で家にいることが増えたためシチューなどの手間のかかる料理を作る人やお菓子を子供と作って楽しむ家庭が増えたという。このようにコロナにより売り上げを伸ばしている分野もあれば大幅に売り上げを落とす分野もある。

(コロナの時代 見えない出口:上)届かぬ支援「事業継続もう無理」途絶えた訪日客、従業員守ろうにも」朝日新聞デジタル(2020年6月28日)
 安倍首相が地方の経済格差にも目配りしたいと「観光立国」に注力してきたこともあり、外国人による旅行消費額は昨年まで最高記録を更新し続けていた。しかし、新型コロナウイルスは海外のみならず国内の人の移動をも止めた。それにより、元々人口減少や高齢化に直面していた地域では経済回復の足がかりさえ失っている。
 大阪の道野隆さんが経営するタクシー会社、ふれ愛交通は約80人の従業員を解雇し、自己破産した。コロナウイルスの影響で外国人観光客の姿はほぼ消え、外出自粛により高齢者の送迎も減少した。道野さんは雇用調整助成金の利用や金融機関への借り入れも検討したが、目処が立たなかった。
 政府の本格的なコロナ対策を盛り込んだ第1次補正予算の成立は4月末になってからであり、必要とする時に金銭的支援が届かないことが事業断念への背中を押したのだ。

山中由睦、神田誠司、川田惇史「「第2波までもたない」公立病院が苦境,医療崩壊の恐れ」朝日新聞(2020年7月19日)
 新型コロナウイルス感染者を受け入れる病院の7割を占める公立・公的病院が経営難に陥っている。地域医療の中核としてコロナ対応の最前線を担うが、人手不足などから、収益が見込める健康診断や救急外来を削って対応している。病床稼働率は下がり、外来患者も減っている。経営は既に赤字であり,もし給与が払えずに医療スタッフが辞めてしまえば,第2波はもたない。医師不足による人件費高騰や、老朽化した施設の改修などで約6割が赤字であり、そこにコロナ対応が重なったことで資金繰りが悪化している。国からは病床を空けることに伴う支援しか得られず,その他の支援が見込めない。寄付を募り,経営の立て直しを図っている病院もある。現場では,地域の医療体制が崩壊しかねないとの懸念が広がる。
(*1とも関連)

「コロナ失業」いつまで続く? 消費冷え込みはリーマン・ショック超す」(2020年7月14日)
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い政府などが要請していた様々な制限が解除されたが、緊急事態宣言期間中の外出を伴う支出は大きく落ち込んだ。その影響は幅広く、各種イベントの中止によって花の売り上げは急減、映画館などの入場料や飲食代の減少率は9割を超えるという。2008年のリーマン・ショックと比較しコロナ禍の日本経済への影響を分析している東京都立大学の脇田成教授は「今年度いっぱいでコロナが収束しても、リーマン・ショック並みとなる」と心配の念を述べた。また、雇用への悪影響について完全失業率が元に戻るまで約五年かかったリーマン・ショックと比較し「今回は五年では元の状態には戻らない」とみている。更に、「生産への貢献に応じて賃金が決まる資本主義経済はコロナ禍では通用しなくなっている。ベーシックインカムがもたらす安心と市場経済が達成してきた生産の効率性の両立を目標とする所得分配の議論を進めるべきだ」と主張する。
(*3とも関連)

「GoTo」事業見直し、広がる混乱 「見通し甘い」批判も」日本経済新聞(2020年7月16日)
 政府が観光支援事業「Go To トラベル」の対象から東京都発着の旅行を外すと突然表明したことにより、利用を見込んでいた旅行者らに混乱が広がった。利用を予定していた東京都民からは、「各地で感染が広がる中で意味があるのか。都民も税金を払っており不平等」という声が寄せられた。感染のリスクを観光地に広げてしまうことへの危惧と同時に、税金の使い道に対する不平等感を含む憤りであった。一方、観光地での受け止め方も複雑であった。「来て欲しい気持ちはあるが、感染が広がるのは怖い」というように、安心して観光客を迎い入れる心の準備ができてないとのことである。コロナウイルスにより大打撃を受けた、観光業界を救うことを目的とした政府の施策が裏目に出てしまっているのではないかという心配も寄せられた。
(*1とも関連)

ジェンダーギャップの拡大

【解説】 新型ウイルス、アジアでは女性に大きな打撃」BBCニュースJAPAN(2020年3月9日)
 国連のジェンダー平等機関「UN Women」でアジア・太平洋人道支援・災害リスク顧問を務めるマリア・ホルツバーグ氏は、「危機が訪れると常にジェンダーの不平等が悪化する」と指摘している。ジェンダーによる不平等は、主に5つにカテゴリー分けできる。1.学校閉鎖による影響、2.家庭内暴力、3.最前線の看護師や介護士(医療や社会福祉の現場ではたらく人の7割が女性)、4.移民の家事労働者(40万人に上る住み込みの家事労働者など)5.長期的な経済的影響だ。新型コロナウイルスによる影響は男女の不平等をさらに強くしてしまうかもしれない。
(*1、2とも関連)

家事育児は女性の役割!? コロナ禍で顕在化するジェンダーギャップ。【アンコンシャスバイアスを探せ!】」VOGUEJAPAN(2020年4月30日)
 コロナウイルス流行によって近頃再び浮上してきた事の一つに家庭内ジェンダーギャップが挙げられる。夫婦間で「男は稼いで、女は家を守れ」というジェンダーバイアスが女性に押し付けられ、家事や育児の役割は女性が担って当然という意識が若い世代にも根深く残っていると露呈した。また、アメリカの調査では学校の閉鎖や保育所の自粛要請により男女の賃金格差が一層広がると危惧されている。その要因として大きな打撃をうけるひとり親家庭、共働き世帯における女性たちに無意識のうちにのしかかる家庭と仕事の負担、雇用上守られていない労働者には女性が多く職を失う可能性が高い事が挙げられる。コロナウイルス流行によって安全のために子どもが家にいることは大切で、仕事の時間が削られるのはやむを得ないが、夫婦間で仕事に割いている時間はフェアで無い事が顕在化した。

孤立する人びと

孤独死の高齢者 コロナ感染判明 見守り課題に」NHK(2020年5月24日)
 都内の一人暮らしの男性が自宅で一人で死亡しているのが発見され、その後新型コロナウイルスに感染していたことが判明した。発見された男性は死亡する2カ月程前に友人に親戚と疎遠になっているうえ、足が不自由であるとして助けを求める連絡をしていた。新型コロナウイルスは感染力が強く容体が急激に悪化することもあるため、地域で孤立する人々の定期的な見守りを行う体制を整える必要がある一方で三密状態を避けるため直接会いにくいという問題がある。従来の民生委員が直接会って支援する体制をとることができないため今後の支援体制の見直しが迫られる。例えば電話やwebなどの媒体を通して見守りを行うなど、単身高齢者世帯が増加する中で今後感染者がさらに上昇する危険性を見越して社会全体が対策に取り組む必要がある。

優生思想の強化

障害者は問う、『命の選別』起きはしないか」朝日新聞(2020年6月24日)
 新型コロナウイルスの感染が拡大する状況の中で、障害のある人たちが「命の選別」を危惧している。その不安のきっかけは、第1波が世界を襲っていた頃の欧米の動きだ。例えば米アラバマ州では、後に撤回されてものの、人工呼吸器が不足した場合、障害や病気のある人にはつけない可能性があるとする指針が策定されていた。人工呼吸器の配分については、日本でも議論の提起があった。これらを受けて、障害・難病患者7団体は4月に国への要望を提出した。DPI女性障害者ネットワークには、新型コロナに関して「入院が敬遠されないか不安」という声が寄せられている。日常生活で障害を理由に入店やサービス利用を断られた経験がこの不安の背景にはある。日本社会には、今もなお優生思想が残り、「生産性のない人」を除外する傾向がある。非常時にはその傾向がさらに強まる可能性があるため、当事者たちは危機感を訴えている。

飢餓問題の深刻化

「2030年までの飢餓ゼロ」達成困難に コロナが拍車』朝日新聞(2020年7月14日)
 新型コロナウイルスの感染拡大により、世界の飢餓人口(充分な食料を得られず、慢性的な栄養不足に陥っている人々)が増加しており、国連が地球規模の課題解決に向けて採択した17分野の持続可能な開発目標(SDGs)の一つである「2030年までの飢餓ゼロ」の達成が危ぶまれている。WHOなど5機関の報告書によれば、異常気象や紛争、蝗害に加え、新型コロナ対策としてのロックダウン措置が食料の生産・物流ラインに影響を与え、世界経済の停滞を招いていることから、約1億3000万人が急性の飢餓状態に陥る可能性があることが懸念されるという。また、この他SDGsの2目標である「全ての人に健康と福祉を」と「気候変動に具体的な対策を」という点についても、こうした食料問題によって達成が危ぶまれていることが報告書において指摘されている。

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