堅田香緒里「フェミニズムとベーシックインカム−−「ゆる・ふぇみカフェ」の実践から」 

エノ・シュミット・山森亮・堅田香緒里・山口純『お金のために働く必要がなくなったら、何をしますか?』(光文社新書、2018年)第5章(pp. 165-198)所収

本文中で触れられている以下の本もあわせて読むとよい。

要約

ベーシックインカムとは、すべてのひとが、その生活に必要な所得を無条件かつ普遍的に保障されることを要求するもので、労働や活動、貢献や能力に対する“対価”としての賃金要求ではない。したがって、その要求は近代資本主義社会が自明視してきた労働倫理と互酬性/交換理念への挑戦でもある。家事労働/再生産労働は、資本主義の本源的蓄積において重要であるがゆえに、この労働を拒否する女性たちはかつて「魔女」とみなされ、抑圧と制裁の対象にされた(シルヴィア・フェデリーチ)。つまり「魔女」は、ベーシックインカムに示される「労働に隷従しない生のあり様」を体現した存在だといえる。現在、政府主導で女性「活躍」・「活用」が推進される中、自らの身体と労働の植民地化に抵抗するために、女性たちは「魔女」となるしかない。

構成

5.1 平等を求める思想
   ベーシックインカムに惹かれた二つの理由

5.2 「活」であふれる日本
   就活から寝活まで

5.3 女性「活躍」政策の背景と文脈
   不思議なこと/女の身体は骨の髄まで侵略される

5.4 三つの分断
   世界での浸透とは裏腹に

5.5 現代社会に対する「抵抗」
   「夢物語」を現実にするための試み/「夢物語」をともに生きるための試み/ゆる・ふぇみカフェの挑戦

5.6 現代の魔女とベーシックインカム
   女の身体や労働を搾取する「植民地化」/「労働の拒否」「家事労働に賃金を」/最も挑発的で不快感を刺激するポイント

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