イヴ・K・セジウィック「クィア理論をとおして考える」(2000年)

2000年10月14日にお茶の水女子大学で行われた公開講演の邦訳。『現代思想』 2000年12月号(28巻14号、pp. 30-42)に所収。訳者は、竹村和子さんと大橋洋一さん。

共に在るためのフェミニズム」で紹介した二つの思考習慣(非二元論と反分離主義)の他、ミソジニーと同性愛嫌悪の関係、「性的指向」を同性愛/異性愛の区分のみで把握することの問題性、「クィア」が意味する政治についても触れられている。

セジウィックの著書 Tendencies(1993)の ‘Forward: T Times’ および ‘Queer and Now’ とあわせて読むとよい。

「それ(「クィア」という言葉)は、さまざまな可能性のまぎれもない混乱、空白、重なり合い、不協和と共振、意味の失効と過剰などを意味します。」(p. 39)

「クィアの政治のほうは、反分離主義的であり、反同化主義的であるといってよいように思います。反分離主義というのは、世の中がホモセクシュアルとヘテロセクシュアルとのあいだできちんと自然に分割されることを当然視しないからであり、反同化主義というのは、正常なるものにまとわりつく特権のおこぼれにあずかろうとか、もろもろの前提を共有したいと思わないからです。」(p. 41)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です