岡部耕典編『パーソナルアシスタンス−−障害者権利条約時代の新・支援システムへ』生活書院、2017年
要旨
障害者の自立生活運動にとって重要な要素のひとつであるパーソナルアシスタンス。本書はそれを「障害をもたない人が特段の力を注がなくても行える日常生活の様々な事柄が、その障害(impairment)によって障害をもたない人のようにはできない場合、障害者個人のニーズと主導のもとに、信任されたアシスタントによって、その行為遂行のために行われる支援のこと」(p. 15)と定義する。その上で、パーソナルアシスタンスがすでに制度化されている諸外国の現状と課題を紹介するとともに、まだ制度化されていない日本での実践の紹介とそれらがひらく可能性を論じる。
目次
読者への手引き−−はしがきに代えて 岡部耕典 3
序章 パーソナルアシスタンス制度創設のための論点整理−−障害者権利条約の視点から 山下幸子 15
第I部 パーソナルアシスタンスの射程−−何を目指すのか
第1章 「通所施設中心生活」を超えて−−「ケアの社会的分有」とパーソナルアシスタンス 中根成寿 45
第2章 地域生活支援拠点の整備に向けて 圓山里子 65
第3章 「その人らしさ」を支援するとはどのようなことか?−−発話困難者の介助コミュニケーションから考えるパーソナルアシスタンス 深田耕一郎 86
コラム 難病当事者とパーソナルアシスタンス 白井誠一郎 116
第II部 パーソナルアシスタンスの実践−−どう取り組まれてきた/いるのか
第4章 パーソナライゼーションはケアを取り巻く関係をどう変化させたか 麦倉泰子 125
第5章 知的障害者の脱施設化とパーソナルアシスタンス−−カナダにおける入所施設から地域生活への移行支援と個別化給付 鈴木良 147
第6章 パーソナルアシスタンスと支援された意思決定−−カナダ・マニトバ州と札幌市の取り組みを踏まえて 木口恵美子 171
第7章 権利法「LSS法」にみる当事者主体の支援−−スウェーデン・ヴェルムランド県における実践を手がかりに 清原舞 199
コラム イギリス精神障害者地域生活支援における対人サービスの現況 浜島恭子 227
第III部 パーソナルアシスタンスの展望−−障害者権利条約時代の日本で
第8章 日本においてパーソナルアシスタンスへの道は切り拓けるか−−意思決定に基づく暮らしとその支援に関する日英の制度比較からの検討 小川喜道 239
第9章 ポスト障害者自立支援法のパーソナルアシスタンス−−カリフォルニア州のサポーテッドリビング・サービスを手がかりとして 岡部耕典 269
おわりに 岡部耕典 303
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